私たちはきっと、美しいものを見るために旅をする 「ノマドランド」感想

ノマドランド」舞台はアメリカ、家を持たずに旅をしながら暮らす車上生活者(ノマド)の生活を描く映画です。物語は、かつて住んでいた町と家も夫も喪いノマドとして生きることを選んだ女性「ファーン」を通して描かれます。

「花束みたいな恋をした」感想

こんにちは!矢澤です。

普段邦画も恋愛映画もほとんど見ないのですが今回は「花束みたいな恋をした」の感想文です。

男女間の恋愛模様だけではない、人と人とが寄り添って一緒に生きていくことの難しさや若者が生きていくことに対して感じる小さな苦悩の積み重ねのようなものがとても丁寧に描かれていて、ひとえに「恋愛映画」というジャンルにカテゴライズするには惜しいと感じる深く素敵な作品でした。

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おジャ魔女を知らない私の「魔女見習いをさがして」感想

まずはじめに、この感想はどんな立場の人間の視点から書かれたものなのかを明らかにするために、まずは私のことを簡単に記そうと思います。

 

私、矢澤豆太郎は現在年齢27歳、地方で一人暮らし社会人をしている一般OLです。

いわゆるおジャ魔女どれみ世代ど真ん中と思われますが、実はおジャ魔女はほとんど見たことがないです。放送当時、2歳下の妹がおジャ魔女を喜んで見ていたのを横目に、当の自分は既に女児向けコンテンツには全く興味がなく、ポケモンに夢中でした。

 

そんな「世代自体は一致しているけど、おジャ魔女に対する思い入れや知識はほとんどない」という私ですが、「魔女見習い」はもう今年一番泣いたんじゃないかなというくらい大号泣してしまいました…。

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私にはミッドナイトスワンが分からなかった

タイトルの通りです。かなり街評判の良い映画なのですが、私には分からなかった。分からないことがたくさんあった。

「分からなかった、伝わらなかったからこの映画は優れていない」と言いたいのではなくて、「私の読み取り力のどこが不足しているのか、多数の人が理解できて私に理解できない価値観は一体なんなのか」、それを探りたいと思って、分からなかったことを書いています。

「チャーリーズ・エンジェル」感想文(ネタバレなし)

出演:クリステン・スチュワート、ナオミ・スコット、エラ・バリンスカなど
気楽に見れる★★★★★
お話が凝ってる★
映像がすごい★
音楽が良い★★★★★
かわいい★★★★★


こんにちは矢澤です!

今回はリブート版「チャーリーズ・エンジェル」を見てきましたー。元シリーズに関してはうっすら基礎知識がある程度でほぼほぼ未履修なので比較とかは出来ないのですが、本作もバッチリ楽しかったです!健康にいい映画だ(?)


■「女性の自由」についてちょっと考える
国際機密機関の女性エージェント、通称「チャーリーズ・エンジェル」。ある日、天才プログラマーのエレーナは、自身が開発した新エネルギー機構が軍事利用されようとしていることに気付き、チャーリーズ・エンジェルに調査を依頼します…

やっぱり王道って大事に残していくべき文化だと思うんですよ。人は意外なものが好きだし、新鮮さや目新しさは目立って評価されやすいのですが(もちろん人が進歩していくためには常に新しいものを求める精神が必要なのですが)そういう奇抜さがなくても王道を行った作品というのは安心と信頼の面白さ、約束された勝利がそこにある…。チャーリーズ・エンジェルはまさにそんな感じです。
なんかもう見る前から優勝じゃんこんなんという材料で実際中身も期待を裏切らずそんな感じだったので大変ありがとうございました。ゴージャスでオシャレでカッコよくてお茶目で可愛くて強くてマッチョでしかもスパイをやってる女が出てくる映画は健康にいいと古事記にも書かれています。カーチェイスと銃撃戦と肉弾アクションも体にいいです。
いや男スパイでもそれはそれで我々が大好きなやつなんで良いんですけど、チャーリーズ・エンジェルは女性の持ち味的な魅力とかゆるさをいい塩梅で魅せてるところが楽しくて良かったなと思います。任務の最中にスッ…とプリクラを撮るやつ、あまりにもなりたすぎる…。

ところで、女性の強さとか自立とか自由とか男女平等とか、ちょっと大袈裟にやっておけ、みたいな風潮が最近目につくよなあとぼんやり思っているのですが(ディズニーとか特にそうですね)私の目には大袈裟に見えるだけで、実際世界の基準はまだそういうのを少し大声で叫ぶくらいがちょうどいい、一種の闘争が必要な段階にいるということなんだろうな、というのも漠然と感じています(あとまあ単純にウケが良くて売れるんだろうな…)。
自分は恐らく幸運な方で「"女だから"損をした」という経験がほとんどないので実感が薄いんですよね。世間を見ると「性別で損をした、自分が女性だったせいで不快な体験をしたことがある」と感じている人が自分が思っていたより遥かに多く身近に存在していて、自分の感覚とのギャップに少し戸惑うことがあったりします。恐らく自分が少数派側なんだと思うんですが、そういう意識すらありませんでした…。
チャーリーズ・エンジェルにも、典型的な男尊女卑イラつく発言連発マンを力でボコボコに制裁するシーンが出てきます。ムカつくやつを暴力で解決する映画、まずそれはそれでひとつのカテゴリとしてめちゃめちゃ最高のやつなのでそこの善し悪しは一旦置いとくんですけど、こういう「テンプレート的な男尊女卑発言があって、それを良しとせず、制裁する」という分かりやすい表現が必要であり、一定数女性側からの共感を得る…というのが現状なんだろうなあ…と…。

自由とか平等とか、そういう感覚それ自体を掴むことがまず難しいよなあと思います。
人間という動物の身体の造りが概ね二種類に分類され、その構造の違いによる明確な特性差がある以上、性別、という区分け自体はやっぱり必要なものだと思うのです。それぞれの性別の特性から由来する、見た目や能力などあらゆる面での「男ならでは」「女ならでは」の良さというのも、やっぱり概念としてあって良くて。でも「"自分"という個体」が一体どれを良しとして、自分自身の武器や魅力として身につけるか、それは自由に選べたらいいな、といつも思います。自分は自分、わたしはわたしです。
従来の、或いは現代では少し古臭いと感じられてしまうような男らしさ、女らしさを良しとして自分のものにしたいと思うのも、「現代的」と言われるような思想を良しとするのも、全てが「個人」の自由でいい。それを他人に押しつけたり、あるいは他人の選択を否定したりせず、個人の選択を受け入れたり尊重できれば、それが自由とか平等なのではないだろうか?と…。
少し話が逸れますが、人それぞれどうしても受け入れられないものや理解できないもの、好みではないものがあるというのは当たり前なので、その感情を否定する必要はないかなと思うのです。私だって解釈違いの自カプに泣いた夜もあります。(?)
でも、だからといってその対象を否定したり攻撃したりしていい理由はないし、逆に無理をしてまで理解しようとしたり歩み寄ろうとしたりするべき、というわけでもなく、適切な距離を取ったり互いに棲み分けをしたりする、というのもひとつの尊重のかたちなんじゃないかなあ、と思っていたりします。穏やかに生きたいです。

自分の話を少しすると、割と性自認が曖昧な方だよなあという自覚があるというか、やっぱり「男」「女」という区分け以前に、わたしはわたしだ、という意識が強いのです。女の体を持っていることに違和感はないし、明確に男になりたい、という気持ちもないのですが、それは生まれた時から私の体は女だったわけでずっと私の持ち物だったからで。女の体、というか、私の体、です。女性の意見、男性の意見、どちらも共感出来る時があるし、共感できない時もあります。それも私の価値観です。
チャーリーズ・エンジェルは女性による女性のための闘争の映画だと思います。それはそれで現代の価値観のアップデートのために必要な声なんですけど、「男が自由である」「女も自由である」という論になると、どちらかじゃないと自由じゃないんだろうか?どちらか一方であるべきなのだろうか?とも少し思ってしまうのです。男だから、女だから自由であるのではなく、全ての個人が等しく自由である、わたしは自由である、という「個」の意識がもう少し浸透したらいいな、とかちょっと思ったりしています。かっこいい女の人も憧れるし、かっこいい男の人も憧れるので、両者の良いとこ取りがしたいな、とか思ってるのかもしれません。強欲なんですかね。そういう意味ではチャーリーズ・エンジェルは厳密には私はちょっとニーズ外れてるのかもしれません(笑)そういうの抜きにしてエンタメとしてめちゃめちゃ楽しいんでオールオッケーです。

自分の性自認についてたびたび思うところがあったのでなんか長々と書いてしまったのですが、チャーリーズ・エンジェルは見るだけでゴージャスで強い女になった気分になれるしシンプルに楽しいです。ああいう映画を見るとギラッギラで底が厚い靴が欲しくなるんですが、手頃なそういう靴ってどこで手に入るんだろう…。情報お待ちしています。(?)


■まとめ
オシャレでゆるくてかっこいい!「オーシャンズ8」にアクション要素をもっと強くしたような感じでしょうか。強い女に憧れている方は特に楽しめると思います…!
今回はこんな感じで〜。ではまた!

「ミッドサマー」感想文(ネタバレなし)

2019年/アリ・アスター監督
出演:フローレンス・ピュー、ジャック・レイナーなど
気楽に見れる★★
お話が凝ってる★
映像がすごい★★★
かわいい★★★★


こんにちは矢澤です!

今回は「ミッドサマー」の感想文です〜これちょっと話題になりすぎましたね!?笑
私は好きなタイプの映画な予感がしてたので以前から観る予定でいたのですが、普段こういうテイストの作品にあまり触れる機会のなさそうな層の人たちの目にも触れて結果不思議な大ヒットになっちゃったような印象…。
割と大袈裟なレビューが蔓延していたので、お陰様でそれを真に受けた自分も観る直前まで過剰にビビり散らす羽目になりました。笑
実際見たら期待通りの好きなやつだったので良かったです。


■美術◎可愛くて妖しい映画
自分、ホラーもグロも苦手なのですが、ホラーに分類される映画に出てくる変な儀式とか妖しい美術がめちゃめちゃ大好きという難儀な性癖を持っており…笑
「ミッドサマー」も予告を見て「絶対これじゃん!」と目をつけていて、内容とか雰囲気よりは美術面目当てで見に行きました。
いや〜、期待通りめちゃめちゃ良かったです…!神聖で、浮世離れした雰囲気があって、ちょっと胡散臭くて、可愛くて妖しい。最高です!こういう美術で可愛さの比重が高いものはわりと貴重なのではないでしょうか。
ダンスなんかの儀式めいたシーンもほどよくうるさくてトランス感があり◎でした!尺もちょうど良かったかなーと思いつつもう2〜3種類別の儀式があったら嬉しかったです。

映画全体の雰囲気は、ホラーというよりは軽めのアングラといった印象でした。エログロの程度がちょうど良かったのでそういう趣味をちょっと通ってる方だったりするとかなり見やすいんじゃないかなあ。逆に慣れてないとちょっと独特な雰囲気なのでびっくりしちゃうかも。
音響なんかはベタに不快だったり不安な音を手堅く固めていて、監督の「みんなに不安になってほしいな(笑顔)!」のあの顔(笑)を思い出して、なるほど言ってることとやってることに違和感がないなと思いました。怖がらせるんじゃなくて不安を煽る音ですね。

この映画のメイン(なのかな?)のカルトの描き方はかなり優しくて穏やかだったと思います。尖った描写はないんですがカルト有識者(ってなんだ…)からすると説得力があったりよりリアルな雰囲気みたいですね。先進的だったり尖っている今までにない描写は注目されがちですが、「普通」「当たり前」を描くというのもひとつの力量ですよね。その辺監督のこだわりなのかな…?
奇抜な脚本とか恐怖体験を期待して行くとちょっと肩透かしを喰らうかもしれないんですが(恐怖体験に関しては個人差が出る部分なのでなんともですが)エログロアングラに覚えがある人、ポスターとかを見て美術が好きそうだなって思った人は楽しめると思います!

■まとめ
ミッドサマー、今のところ自分の中の判定がファッション映画です(?)可愛いので…。
「好きな人は好き」タイプの映画だと思うのでこういう作品が初動で大ヒットするとインターネット社会もう分かんねえな〜という気持ちになります。クチコミすごい。

今回はこんな感じで〜では〜

「音楽」感想文

2020年/岩井澤健治監督
声の出演:坂本慎太郎平岩紙など
気楽に見れる★★★★★
お話が凝ってる★★
映像がすごい★★★★
曲がいい★★★★★
 

こんにちは矢澤です!

今日はミニシアター系の長編アニメーション映画「音楽」の感想文です。監督が7年以上一人で手描き作業を続けたという執念の一作…!ノーマークだったんですがめちゃめちゃよかったです…!