「ブレイブ ストーリー」感想文(ネタバレなし)

2006年/千明孝一監督

声の出演:松たか子 大泉洋 他

気楽に見れる★★★★★

お話が凝ってる★★

映像がすごい★★

 

■平成30年の今だからこそ「ブレイブ ストーリー」を見てくれ

 こんにちは、やぁたろです。TUTAYAポケモンコーナーの隣に置かれていた2006年公開のアニメ映画「ブレイブ・ストーリー」をうっかり見直したらめちゃくちゃ面白かったので今回は感想文というよりはかなり布教を意識した記事です。

 

一応公開当時に珍しく劇場で見た&宮部みゆきによる原作も読破済みのはずなんですが、何分小学生だった頃の話なので内容については殆ど覚えてませんでした。どうでもいいですが宮部みゆきの作品だと「ステップファザー・ステップ」がかなり好きです。

というか2018年にブレストの布教記事を書いてるのは私くらいなのでは?と自分でも思います。さすがに12年前の映画なので話題を共有できる人が見つからず気持ちの行き場がないんです。許してください。ていうかこれ読んで「ブレイブ・ストーリー」見てください。

 

 

 

 

■古きよきファンタジー冒険アニメ

 まず一つお詫びしたいのですが、「ブレイブ・ストーリー」を布教するにあたりかなり私の性癖を暴露しなければなりません。この記事によって私のイメージが損なわれる(?)可能性がありますが引き続き温かく接していただけますと幸いです。

ただ性癖暴露と言っても普段隠しているとかそういうわけではなく、12年前の映画を見たことによる「古傷」的な何かがうずいてしまったという表現が近いかなと思いますのでその点も一つよろしくお願いします。(???)

 

 

私と同世代~少し上の世代の方はタイトルに聞き覚えがあったり、当時見た方も多いかなと思います。「ブレイブ・ストーリー」は宮部みゆきの同名小説が原作のファンタジー・冒険アニメ映画です。

宮部みゆきと言えば「ソロモンの偽証」「パーフェクト・ブルー」「名もなき毒」などドラマ・映画化されているタイトルも多く、これらの作風的にもミステリー・サスペンス作家の印象が強いのかなと思います。自分も学生時代はけっこう本を読んでいて、特にミステリーが好きだったので「宮部みゆきのミステリー小説」はどれも面白くて好んで読んでました。

 

 

ですが「ブレイブ・ストーリー」は王道も王道のファンタジー冒険物語。

 小学5年生の男の子、ワタルは、バラバラになってしまった家族を取り戻すという願いを叶えるために、見習い勇者として扉の向こうの不思議な世界「幻界」を冒険する旅人になります。

 

冒険の舞台は人間のほかにも魔物や動物に似た様々な種族が暮らす大陸、厨二心をくすぐる詠唱の呪文やカタカナ用語も出てくるし、「女神様」「旅人」「魔導師」「騎士団」などなどのファンタジーに欠かせない概念ももちろん押さえてるし、なんていうかこう

 

ドラクエとかガンガンの漫画が好きな10年くらい前の中学生が妄想してる”超大作”のベタな創作をプロの作家がマジで超大作として仕上げた」みたいな世界観…なんです…!(めちゃくちゃ褒めてます…!)

 

今こういう超絶王道みたいな設定、逆に希少じゃないですか?そうでもないですか?いやそもそも「ブレイブ・ストーリー」は全然今の作品じゃないんですが。まさに王道ファンタジー全盛期の時代の作品ですが。

王道ファンタジー全盛期の時代の作品を今大人になってから再び見てみることに意味があるのです。中学生に戻されます。今私だけ中学生に戻っているのでみんなにも中学生に戻ってほしいです。

 

 

ちなみにゲーム好きでも知られる宮部みゆきは「ICO」のノベライズを執筆していたりもします。ミステリーめっちゃ面白いのにファンタジーも書ける宮部みゆき、作風の幅が広すぎです。大好き。

 

 

原作は1000ページを超えていて、単行本も3冊~4冊(出版社によって違います)に渡る超大作なのですが、映画は2時間という限られた時間の中で1つのお話としてまとめられているので少し駆け足かな?という部分もあります。が、映画全体に無駄がなくテンポが良いし、ワクワクする世界観を十分見せつつ一つのお話としてきちんとまとまりがあるので見ていてすっきり楽しめます。小さい子供でも楽しめる、まろやかなドキドキワクワクの冒険物語です。

作画は萌え系とかホビーアニメ系ではなくやや写実寄りですが丁寧で綺麗だし、カメラワークもダイナミックで、ワタルの少年っぽい動きとかキャラクターの動作もすごく可愛いです。

 

そしてアニメで重要なのが声、声帯主ですよね。「ブレイブ・ストーリー」は有名声優が揃えられている映画ではなく、芸能人、いわゆる「素人声優」多めなタイプの映画ですが、私はもう開始30秒くらいで「女性声優の男の子キャラやっぱ国宝~~~」という気持ちでいっぱいになりました。松たか子、めっちゃ声優うまくないですか?

近年囁かれている「女性声優の男の子キャラ少なくなったよね問題」、私はかなり気にしてまして、というか最近のアニメそもそもあんまり見ないんですけど、私いわゆる「イケボ」みたいな声とか、男性声優の作り声みたいなのが、あまり得意でなくて…(好きな方本当にごめんなさい!)

私の好みの問題は置いておくにしても、やっぱり女性の声優さんでしか表現できない「少年」の可愛らしさみたいなのって絶対にあると思うんです。「ブレイブ・ストーリー」を今見てほしい理由の一つがこの「主人公の男の子の声が女性声優」という点にあると言っても過言ではないです。女性声優の主人公、これもまた古きよきなのです。みんな、女性声優ショタの良さを思い出してくれ~!!

あとこれは余談ですが、私大泉洋の声帯がめっちゃ好きなのでブレストでも出てきて嬉しかったです(?)。大泉洋も声優うますぎる。

 

 

■ワタルとミツルの対比とか関係性がシンプルに良い

 自分はもう老い先短い枯れオタクなので、オタクにとって重要である「キャラ同士の関係性」を想像や妄想で補完したり、深く思考を巡らせる力がほとんど失われています。たまにMCUのバッキーとキャプテンとサムに思いを馳せているくらいです。

補完する力がないので、ただ見せられたものに対して「良い…」って言ってるだけなんですが、「ブレイブ・ストーリー」のお話のメインであるワタルとミツルの関係性も素直に「良い…」ってなりました。

 

 

平凡だけど心優しい主人公ワタルと、非凡な才能を発揮するクールな美形キャラのミツル。いにしえより受け継がれているこの王道な尊い対比、今となっては一週回って珍しいのでは?と思うのです。

髪の色や顔の系統など、見た目の対比が分かりやすいキャラ同士のことを「双子」と形容してしまうのが癖なのですが(?)ワタルとミツルも双子っぽいですね。見た目からも分かりやすい対比は良いものです。

 

「ギャップ萌え」が重視されつつある現代、ベッタベタの主人公キャラとか隙が無いクールな美形キャラって逆に少ないよ…という意見も見たことがあるようなないような。映画ではそもそも「ギャップ」を見せるような時間の余裕がないというところもあると思いますが、このシンプルなキャラ付けは時代に取り残された枯れオタクおばあさんである私の心に染み渡りました。

 

 

そしてこの二人が単純なライバル関係なのではなく、どちらかと言うとお互いに大切にしたい友達みたいに思っている関係性なのも良い!優しい世界!

ミツルは転校生なのでワタルとずっと一緒に過ごしてきた親友というような間柄ではないけれど、たまたまミツルのピンチをワタルが助けたとか、ミツルが魔法を使うところという一種の「秘密」を共有したとか、願いを叶えるために現世から幻世へと渡ったという少なからず共通する境遇を辿ったりとか、一つ一つの印象的な出来事が彼らの絆を深めたというのは決して不自然ではないはずです。

クールなライバルキャラって大抵「あいつなんか友達じゃない」とか言いがちだと思うんですけど、ミツルはちゃんとワタルのことを友達だって言うシーンがあったのがすげーやさしい世界だな…と思いました。

ワタルはワタルで、ミツルのことを助けるために一生懸命だし、でもほかの仲間たちや家族のことも大切だし、とにかく心が優しいんですね。最初の冒険は頼りなくても、心の優しさや芯の強さはブレずに描かれていて好感度の高い主人公です。ラストの方なんかはちょっと達観しすぎでは!?というくらい成長するのもまた良いですね。

 

 

これ完全に私の性癖の話なので読み飛ばしていただいて全然いいんですけど、自分ブロマンスがめちゃくちゃ好きというか、ブロマンスという定義に当てはまるのかあんまり分かってないんですけど、「恋愛感情とはまったく別の、恋愛感情や他の何よりも優先される同性同士の友情」がすっごく好きで…。

 

例えば「帝一の国」に出てくる帝一と光明。帝一には彼女の美々子がいますが、時として(というより大抵)美々子より光明との友情が優先されるし、「恋人は美々子、伴侶は光明」という迷言(?)まで出てきます。それでいて美々子と光明は険悪というわけではなくどちらかと言えば仲良し。

これが「どこかの関係性が険悪で三角関係っぽくなる」とかだとまた話が変わってしまうので、あくまでも恋愛感情と友情が完全に切り離されているところがポイントなのです。(ただ、三角関係は三角関係で大好きなのでまた別の機会に)

 

 

話を「ブレイブ・ストーリー」に戻しますが、作中のミツルに対するワタルの行動もこれに近いのでは!?という…

猫みたいなネ族の女の子ミーナとの間に淡い初恋のような関係性が芽生えていたり、そもそも幻界に来た理由はバラバラになった家族を取り戻すためですが、特にラスト辺りでの作中のワタルの行動比率は、かなりミツルの為を思って行動している…ような…(思い込みかもしれないので自信がない)

 

ワタルは一貫して心優しい主人公なので、仲間たちみんなを大切に思っているのがラストシーンではよく現れているのですが、それにしてもミツルへの友情はやっぱり特別なものとして描かれてると思います。そういうのが好きです。

 

そういうのが好きです。

 

 

■まとめ

ブレイブ・ストーリーを今見て私のようにやり場のない気持ちを抱えてほしいです。全てが王道ですがすがしいほどご都合主義で話が進んで面白いし仲間もみんな可愛いしいいやつだしほんと最高です。

ブレイブ・ストーリー見てください。

 

近年稀に見るひどい長文を書いてしまいました。すみません。