ゲームセンターが好きです(雑記)

ゲームセンターが好きです。

 私は音楽ゲーム、特に「BEMANI」と呼ばれるKONAMIが展開している一連のシリーズが大好きで、あまり詳しくない方向けに少し書いてみるとすると、例えば90年代に一世を風靡した「DanceDanceRevolution」とか、同世代のオタクの皆さまなら一度は名前を聞いたことがあるであろう「ポップンミュージック」とか、そのほかにも何となく見たことがあるかもしれないギターのゲームとかドラムのゲームとかピアノのゲームとか、大体その辺が全部BEMANIの仲間で(今挙げたもの以外にも もっといろいろたくさんあります)そのいろんな音楽ゲームを割と満遍なく、そして割と長いこと楽しんでいます。遊び始めて、だいたい10年くらいになりました。

 

ゲームセンターという場所自体が好きです。

 

私は音楽ゲームを中心に楽しんでいるだけなので、ほかの様々なジャンルのアーケードゲーム全てを網羅しているわけでは全然ないのですが、大きさも見た目も客層もバラバラの、いろいろな大型ゲーム機がたくさん並んでいるゲームセンターの風景を見るだけでとてもワクワクします。

家庭に設置するのは容易ではない規模の筐体、スピーカーの爆音、大画面、照明…圧倒的な没入感で遊ぶゲーム体験は、やっぱり特別で上質な贅沢です。今は家庭ですぐに遊べるゲームもとてもハイクオリティで楽しいものがたくさん出ているけれど、わざわざゲームセンターという場所に足を運んでクレジットを入れてまで遊ぶほどの価値がアーケードゲームには変わらずあると思います。素敵な景色を自分の目で見るために旅行に出かけたり、大迫力のスクリーンと音響を通して作品を感じるために映画館へ映画を見に行くのと同じです。

 

ゲームセンターでの娯楽体験の贅沢さとは裏腹に、空間の雰囲気自体は良くも悪くも雑然としてごちゃついています。特に大型チェーンではない小規模なゲームセンターほど顕著ではないでしょうか。だけどあのいつも奇妙にざわついて薄汚れた空間が、妙に居心地がいいのです。

私は体調面の関係で、1年ほど働けていない時期がありました。収入がないのであまり金銭面に余裕がなく、だけど家に居場所もなくて、そういう時によく散歩がてらゲームセンターを訪れました。

椅子に座って、他人のプレーを眺めたりジュースを飲んだり、少しだけ自分もゲームをしたり、そういう私みたいな「平日の昼間に居場所がない人」を、別に許容しているわけでもないのですが拒絶もしない、数少ない落ち着ける場所でした。

一人でゲームを楽しんでもいいし、少しぼーっとしていてもまあ怒られはしないし、もちろん友達と一緒に遊ぶのも楽しい、そんな一種の懐の深さのようなものがある場所だと思うのです。

 

ゲームセンターが好きです。

 

このコロナ禍の煽りで加速していますが、そもそもそれより以前からゲームセンターの店舗数は全国的に減少しています。私の思い出深い店舗も、この2〜3年で次々となくなりました。

現代を生きているみんなが時間に追われていること、娯楽が多様化してどんどんこの世に溢れていっていること、そんな中でよりインスタントに楽しめるものが主流になっていること。ほかにも要因はいろいろあると思います。

実際私にも、ゲームセンターから足が遠のいていた時期もありました。

 

それでもやっぱり、好きな場所にはずっと続いて欲しいな、と願ってしまうのです。

 

私たち音ゲーマーは、行きつけのゲームセンターを「ホーム」と呼ぶことが多いです。

ゲームセンターに行けなかった私を変わらない姿で待っていてくれて、また受け入れてくれた。私にとってゲームセンターそのものが、帰る場所、ホームです。そんな帰る場所が、いつまでもそこにあって欲しい。

 

私は大富豪でも権力者でもないので、出来ることには限りがあります。まず自分の生活を自分で支えることが大前提で、その上でほんの少しの出来ることをする以外の選択肢を持っていません。

今の私に出来ることは、元気でいて、仕事をして、お小遣いを捻出して、行動範囲にある好きな店舗に一人で足を運んでサッと遊んでサッと帰って手洗いうがいをする、そしてまた元気でいる、そのくらいだと思います。

 

それともうひとつ、私にできること。

ゲームセンターが好きで、アーケードゲームが好きで、ずっと続いて欲しいと思っている、そんな気持ちを残したくて、誰かに伝えたくて、本を作っています。

これまでもちょこちょこと告知したりしなかったりしているのですが、6月の北海道コミティア合わせのスケジュールの本です。

本の名前は「Home」(仮題ですが、たぶんほぼ決定です)、ゲームセンターやアーケードゲームをテーマにした一次創作短編集です。

テーマは統一ですが、多角的に楽しめるお話をいくつか収録できるかな、と考えています。小説も、漫画も描いています。

 

ゲームセンターと縁遠い人を結びつけるまではいかなくても、あの場所での遊び方を知っている人が少しだけまた足を運びたくなるような、そんな本に出来たらいいな。

 

本が出来たら、読んでもらえると嬉しいです。

読んでもらえなくても、ゲームセンターで遊んでもらえたら、ほんとはそれだけで嬉しいです。

よろしくお願いします。

 

おわり。