「Home.」について長々書く(雑記)

  ゲームセンターにまつわる創作短編集「Home.」セルフ感想文(?)兼セルフ解説(?)

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2021年6月8日現在、まだ自家通販でしか出せてない状態であるにも関わらずたくさん手に取っていただいていて大変ありがたい限りです。本当にありがとうございます。自分の作ったものの話を無限にしたいマンなので長々と書きました。
※おはなしの内容のネタバレを含みます。

 ☆チョコミントアイスの彼女
美味しいですよね、チョコミントアイス。ね。
「ゲームセンターにあるゲーム以外のもの」で一番初めに思いついたのがアイスの自販機でした。
二次創作以外の方法で私の好きな音楽ゲームやゲームセンターについて表現できないか、それをかたちに出来ないかと考えてから最初に書いたお話です。書いた当初はそのうち本にしたいなあと思いつつ「Home.」自体の具体的な構想などはまだ出来てませんでした。
試作品的な部分が強いので登場人物たちにも名前はありません。ゲームセンターでよく見かけるあの人、なんていつも名前は知らないものです。それでも主人公の男の子が自然と女の子のことを目で追っていたのはやっぱり彼女が気になる存在だったからなんだろうなあと思ったり。ゲームが上手いからという尊敬の気持ちなのか、お友達になりたいのか、もっと別のなにかなのかは誰にも分かりません。
「過去ゲームセンターで知り合って少し友達だったけど、その時間が過ぎ去った今、どうしているのかは知らない人」が私にもいたりいなかったりで、あの一瞬の出会いはすごく不思議なものだけど、決して悪い思い出でもないんです。きっとまた何処かで見かけたら「あ、まだこのゲームやってたんだなあ。私もだけど」とか思ったりするんだろうな。
あと地味にこのおはなしが「天使の約束」のプロトタイプだったりします。

 

☆花の名前を教えてよ
キョーコちゃんの買った花の名前はアルストロメリア。もしかしたらあなたが知っているあの曲のタイトルかも。
キョーコちゃんのお友達として登場したさよちゃんは拙作「わたしの神さま」の主人公です。「花の名前を教えてよ」の作中ではキョーコちゃんに乙女だねなんて言われてますが彼女が飾っている花は推しアーティストである「樋廻(ひまわり)まひる」にちなんだ向日葵なのでむしろキョーコちゃんより拗らせたオタクです。
キョーコちゃんのお部屋が散らかっているのは(ゴミをついついその辺に放置しがちなせいもありますが)好きなコンテンツから知った音楽のCDや漫画、雑誌、グッズなどの物が多いから。お花を気にするようになってからハーブティーを買ってみたりドライフラワーを自作してみたり…とかもしてるかも。全部「ゲームがきっかけで~…」なんて言ってしまうので周りからは本当にゲームの話ばっかりしてるなと思われてますが、実は好奇心旺盛なんでしょうね。明るく振舞ってても心の底では昔他人から言われた一言が忘れられなくて夢に見てしまう一面もあったり。
ピンクの派手髪に派手柄トップス、ビ〇バン系のサブカル雑貨屋の店員さんという裏(?)設定があります。

 

☆天使の約束
一番ボリュームのあるおはなしになりました。登場人物みんな可愛く書けたなと思います(?)構想が二転三転して当初の予定とは全然違う話になったり漫画の予定が小説になったりしました。一番最初の構想では軽音をやっている女の子と友達の女の子のお話になる予定で、その二人がポストカードの絵の子たちだったんですが完全に面影ないですね。強いて言うならポストカードの向かって右の女の子がガーリーなテイストのデザインというくらい…。プレーしてるゲームも「ドラムマニアっぽいゲーム」にするつもりでした。面影ない。
主人公の「七軒千春(しちけんちはる)」くんの苗字、七軒はビートマニアの俗称である「七鍵」のもじりです。てんしちゃんはおはなしを考えてる途中まではかすみちゃんという名前でした。てんしちゃんにして良かったと思います。
今現実で活躍している若手アーティストの中にも元々音楽ゲームファンだった方や音楽ゲームがきっかけで作曲を始めた方がたくさんいます。ユーザー側だった人が制作サイドに回っていく、時代の移り変わりというのは非常に興味深いなと常に感じていたのでおはなしに盛り込んでみました。そして制作サイドになれる人もいるし、なれない人もいる。千春くんは運にも恵まれていたしいろいろな才能もあったんだと思います。作中に盛り込みきれませんでしたが「ShichihaL」の音楽は割とレトロポップなテイストで、無意識のうちに幼少の頃から聴いていたお父さんの歌うフォークソングの要素もあるのが個性的…とか妄想してます。「わたしの神さま」で登場する樋廻まひるちゃんともコラボしています。まひるちゃんは生演奏のバンドガールですが曲のテイストが近そう。
てんしちゃんは「変化を恐れる」部分が少しあるのかもしれません。楽しく幸せに生きている方ではあるけど、だからこそ「楽しく生きている今の自分」を保存したいと願っている。可愛くてきままな「天使」の音楽として、彼女は確かに永遠になりました。
両片想い(?)の千春くんとてんしちゃんのこれからは…どうなんでしょう。再会するかもしれないしもう一生会わないかも。付き合うのかも。分かりません。
千春くんの雇い主の「天国オーナー」は「わたしの神さま」に登場する天国めろうちゃんのお兄さんです。天国めろうちゃんは樋廻まひるちゃんのバンドメンバーなので、そのツテで千春くんはまひるちゃんとコラボすることになりました。てんしちゃんのお友達のキョーコちゃんは「花の名前を教えてよ」のキョーコちゃんと同一人物です。

 

☆渡り鳥、カゴの中にて旅をする
あなたが知っているかもしれない「この身を解き放ってゆらり揺らぐ」歌とか「傘なんて必要ない」歌とか「極彩色の海広がり色めく」歌とかを、瑠璃ちゃんも聴いているのでしょう。夜の高速道路を走る車の中で聴く曲は、世代によって差がありそうな気がします。
瑠璃ちゃんの住む街や出かけた隣町はなんとな~く地元や隣の市がモデルです。おいでよ札幌。焼きそば屋さんも実在のお店をひっそりこっそり思い浮かべながら書きました。
瑠璃ちゃんは「もし私がいつか結婚して子どもが出来たら」というようなことも自然に考えられる価値観の持ち主です。可愛いデパコスとかオフィスカジュアルのオシャレな服とかも好きです。ひとり旅が好きですがもしかしたらぼんやりと結婚の予定もあるのかもしれない。分かりません。
冬は毎年いやですが結局地元が好きです。

 

☆きっかけ(bttnさん寄稿)
bttnくんは絵がうまい とにかく絵がうまい。
ゲームセンターのガヤガヤ背景を描いてくれただけでも本当に頼んで良かったなあと思いました。藤波くんは戸丸くんと仲良くなるきっかけが欲しかったんだろうなあと思いつつそもそも音楽ゲーム自体も気になってて遊んでみるきっかけが欲しかったところもあるのかも…とか妄想してます。詳しい人と一緒じゃないとちょっと敷居が高いな~とか感じてしまうあの気持ち…懐かしい…。学生時代にワイワイ友達とゲームをした記憶は一生の思い出になるものです。
そして完全に余談ですが、私「手が大きい人の手が大きい描写」がめちゃくちゃ癖(へき)で、この話はbttnくんにはしたことがないと思うんですが何故かバレてました。不思議だな。
音楽ゲームをやったことがない人が音楽ゲームに興味を持ってくれた瞬間、いつになってもすっごく嬉しいんですよね。

 

☆夜の名前(市村圭さん寄稿)
「Home.」の収録作品の中で最も精密に「ゲームセンター文化」を切り取っていただいている作品です。拙作「チョコミントアイスの彼女」では名前も知らない人々との繋がりを描きましたが、「夜の名前」では逆に「名前しか知らない」人々が描かれています。それもまた、ゲームセンターの中に在り得る人と人との繋がりです。
「ボタンを叩くゲームを日常的にプレーしている人は指輪をしない」のは密かに私も意識している描写なので嬉しかった(?)です。そして大好きな友達の左薬指をつい確認してしまう、誰かのものになって欲しくないと願ってしまうチエちゃんの密やかな独占欲…本当にいじらしくて大好きです。学生の時から霧江ちゃんの所作をこっそりと目で追ってるのが可愛い。
時が経てば自らの置かれている状況は変わるけど、ゲームセンターという場所や音楽ゲームというコンテンツは変わらずにそこに在って、いつでも私たちを迎えてくれる。いつまでもその場所やコンテンツが続きますようにという「Home.」のコンセプトをまさにまさに表現していただいたおはなしです。


いつになるか分かりませんが「Home.+1(ほーむぷらすわん)」みたいなタイトルで第二弾作りたいなー…と思ってます。気が早い。今度はプリクラの話とか喫茶店にある古いアーケードゲームの話とかも書きたいです。SF風とかコメディ風とか、おはなしのジャンルももう少し広げられるといいな。
今回の表紙が可愛く出来すぎて(?)しばらく並べられるデザインを思いつきそうにないのでとりあえず第二弾は表紙を思いつくまで寝かせておきます。

感想とか宣伝とか二次創作(???)とかなんでも嬉しいのでよかったらよろしくお願いします。では。