2018年/堤幸彦監督
お話が凝ってる★★★★
胸が苦しくなる★★★★
泣ける★★★★
ブログはお久しぶりです、やぁたろです!
転職したてでお勉強しなきゃいけないことがいろいろあってやや多忙気味ですが、「人魚の眠る家」の試写会に当選したので久々の感想文です。
■「人間」の死に線引きをするのも人間なのか?苦しくて泣ける説得力のある映画
離婚寸前の夫婦の元に、ある日突然「娘がプールで溺れた」という連絡が入る。意識不明の娘は脳の機能が停止していて、回復の見込みはもうないと医師から告げられます。
それでも奇跡を信じて延命治療を行うことを決意する夫婦。やがて夫は、最新の技術を使って娘を回復させようと試みます。体の状態は徐々に健康に保たれていき安定するものの、娘は決して目を覚ますことはない。
娘を思う妻の心、夫の心、そして技術によって治療に協力していた科学者の心や周りの人々の心、全てが少しずつすれ違っていく…
「人魚の眠る家」は「白夜行」や「流星の絆」などの作者でもある東野圭吾の小説が原作。私は普段あまり邦画は見ないのですが、学生の頃によく東野圭吾の作品を読んでいたので、東野圭吾原作なら面白いんじゃないかな〜と思って試写会に応募したのでした。
私、こういう「どういうターゲティングを取ればいいのかよく分からない映画」(?)のことを、「本棚に入れておきたい映画」だと思っているんですけど、「人魚の眠る家」はまさにそれです。娯楽映画ではないと思うし、何かの説教や教訓を示しているわけでもない。確かに泣けますけど、爽やかな感動の涙ではなくて、苦しくて切実で泣ける。小説のように、自分の世界を少し隣に広げて、問を投げかけてくる映画じゃないかなあ…と。
「人魚の眠る家」では、心臓は動いていて体の状態も健康なのに、決して意識が戻ることはない子供、瑞穂が常に物語の中心にいます。
意識が戻らなければ死んでいるのと同じなのか?心臓が動いていれば生きているということになるのか…そしてこの線引きをするのは医療なのか、当人ではない周りの人間なのか?劇中では常に問を投げ続けてきます。
身近な人の死について、という、いつでも自分たちの隣にある、でも実際は日常からは少し離れたような、リアルとフィクションの狭間のようなストーリーでこんなに感情移入して苦しくなれるのは、やっぱり監督や出演俳優陣の力ですかね。ラストの怒涛の感情の揺さぶりからの、伏線回収による話のまとめ方が素敵でした。
おすすめポイントを聞かれると難しいですが、見て損するタイプの映画ではないことも間違いないです。試写会で当たってなかったら見るきっかけがなかったと思うので、今回はラッキーでした。
■まとめ
「人魚の眠る家」を見たあとの、苦しかったけどよい体験をしたな、という気持ちは、なんとなく読書をよくしていた頃の感覚に似てたかなあ〜と思いました。また本読みたいなー。
今回はこんな感じで!ではまた〜。