「ペンギン・ハイウェイ」感想文とちょこっと考察(ややネタバレあり)

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2018年/石田祐康監督

声の出演:北香那 蒼井優など

気楽に見れる★★★★

お話が凝ってる★★★★★

映像がすごい★★★★

 

こんにちは、やぁたろです!

予告を見て気になってた「ペンギン・ハイウェイ」を見てきました。

 

森見登美彦の小説が原作のアニメ映画「ペンギン・ハイウェイ」。私は森見登美彦の作品を読んだことがないのですが、「ペンギン・ハイウェイ」は不思議な雰囲気がありつつ爽やかな夏の可愛いSFですごく自分好みでした!

考察の余地がすごくたくさんあるので考察勢の方にも是非見てほしいです。

 

ペンギン大好きなので可愛かったんですが車にぶつかったり街から離れると消えちゃうとこが苦しそうだったのがちょっとつらかったです(過激派なので)(?)

あと大群恐怖症なのでシーンによってはちょっとこわかったです。でもかわいいです。アオヤマくんとお姉さんも可愛いです。

 

今回はところどころ感想や所感、想像や印象などなど絡めた、考察…とまではいかないですが本編の謎に触れつつの感想文です。

 

 

 

■全部が可愛い&エモーショナルな娯楽映画

主人公のアオヤマくんは研究者肌でおっぱいが好きな小学4年生。ちょっと大人びていて論理的思考を持っている研究熱心な男の子ですが、研究の方法や題材が等身大だったり、時にはちょっと背伸びしてみたり同級生とケンカもしたり、「アオヤマくん、まだまだ子供だなぁ」なんて笑ってしまうような可愛さがあるキャラクターです。

そんなアオヤマくんの憧れであり研究対象でもあり、本編の謎を握る存在でもあるのが歯科医院のお姉さん。美人で優しくて、自由で可愛い。物語の中ではアオヤマくんや視聴者である我々にとっての謎の象徴でもあり、まだ幼い男の子であるアオヤマくんにとっての女性性の象徴でもあり、母性の象徴でもある…様々な意味を含んだキャラクターです。

お話はアオヤマくんとお姉さん、そしてアオヤマくんと共同研究しているクラスメイトのウチダくん、ハマモトさんを中心に進行していきます。

 

舞台は郊外の住宅街。オシャレすぎるけどほどよい田舎感のある街並みに青い空、山や川、森などの自然…この雰囲気本当に大好きです。私も子供時代をいつも山が見える風景の中で過ごしたので、山があるとなんだかもうエモーショナルなのです。

そんな素敵な郊外の町に、突然ペンギンが現れるところから物語は始まります。

 

街に現れたペンギンについて研究することにしたアオヤマくん。ある日、お姉さんがペンギンを作り出すことができると知ります。お姉さん自身もなぜ自分がペンギンを作り出すことができるのかわかりません。

お姉さんと一緒にペンギンについて研究する一方で、クラスメイトのハマモトさんが森の奥の草原で発見した謎の浮かぶ球体「海」についても研究することになります。

やがて「海」とペンギンとお姉さんの3つの謎がそれぞれ繋がっていることに気付きますが、街にもどんどん奇妙な現象が現れ始めて…というストーリー。

 

お話全体もワクワクドキドキの冒険があったりペンギンが可愛かったりして、幅広い年代が楽しめる娯楽映画に仕上がっていると思うのですが、小学生同士のちょっとえげつないくらいのケンカとか、川に沿って歩いて上流を突き止めるために探検隊を結成したりとか、優しく上手に思考のヒントをくれるお父さんとか、のんびりしてるけどやっぱり優しいお母さんとか妹とか…

なんだか「大人が憧れる・羨望する子供時代」や「成長するにつれ失ってしまった何か」みたいなものがこれでもかと詰め込まれていて…エモエモのエモなのです…。

秘密の草原でクラスメイトとおやつやおもちゃを持ち寄って遊んだり研究したりするとかもう、これになりたすぎて泣ける…生まれ変わったらこんな夏休みになりたい…俺が夏休みだ…(概念)

 

アオヤマくんはお姉さんやお父さん・お母さんたち周りの大人に見守られ、優しく導かれながら物語の中でも少し成長していきます。少年の成長をテーマにした作品にどうしようもなくフェチを感じるので本当に最高でした。アオヤマくんの成長の対比としてお姉さんの存在があるのも可愛らしく美しいです。

 

テーマや舞台が私好みという点もありますが、夏に見返したい、大切に心に置いておきたい映画だな~と思いました。

 

 

■「お姉さん」とはなんだったのか

この項目は少しネタバレを含むかもしれないです。

ペンギン・ハイウェイ」を見て誰もが考えることになるのが、「お姉さんとは、一体なんだったのか?」という謎。

アオヤマくんはお姉さん・ペンギン・「海」について研究、考察、仮定をしていき自分の中で「落としどころ」を見つけますが、劇中で明確にこれという答えが提示されるわけではないです。

 

アオヤマくんにとって、そして我々にとってお姉さんはあらゆる「謎」そのものの象徴です。

お姉さんの神秘性やなぜお姉さんを見ていると嬉しくなるのか、という「お姉さんの女性性」はアオヤマくんにとってまだ理解できない謎の感情です。

お姉さんの存在と密接しているペンギンや裏側の世界(世界の果て)など、人智の外にある未知の現象や領域といった要素は、アオヤマくんや人類にとっても謎です。

またお姉さんが作り出す「ペンギン」「ジャバウォック」「海」の食物連鎖の関係や命の源と言われる海との関係性は、お姉さんが人ではない神さまなどの領域にいる存在であることを示唆しているのかなとも思います。

「神様が遊んでいるみたい」や「宇宙人」というキーワードから、神様や宇宙人に近しいものなのかなとも思いますが、とにかく人の尺度では「何か」に断定できない存在だからこそ「謎」そのものなんです。

 

ペンギンが海から陸に上がるときに辿るルートがペンギンハイウェイ。

アオヤマくんがまたお姉さんに辿り着くまでのルートもペンギンハイウェイと称しました。海から陸にあがり、また海へ還る。食物連鎖や水源が存在しないループした川、密接した世界の果てとこの世界…この辺は哲学感が爆発してますね。

 

おそらくアオヤマくんが子供の時にしか出会えない存在だっただろう「お姉さん」と成長と共に別れ、またお姉さんを目指して進んでいく。

 

ペンギン・ハイウェイ」はループに基づいた哲学が散りばめられてるのかな、と思いました。

 

 

■まとめ

優しくて可愛くて気軽に見られる娯楽映画の一方で、深く思考を巡らせる要素もある面白い映画でした!

心に大事に置いておきたい映画です。ぜひ見てみてください~!原作も読んでみたい!

 

ではまた~。