好きな本を紹介する 宮部みゆき「ステップファザー・ステップ」

こんにちは~やぁたろです!

大人になってからはあまり本を読む時間が取れていないのですが、学生の頃はそこそこ読書家でした。

 

先日の停電の際にあまりにもやることがなく(呑気…笑)久々にゆっくり読書ができたので、今回はそのときに読んだ宮部みゆきの「ステップファザー・ステップ」をご紹介。

学生の頃に読んだことがあったのですが、つい最近読み返したくなり再購入しました。(あまり手元に物を残しておかない人間なので手放してた)

もともとミステリーを中心に読書をしていて、宮部みゆきの著書もいろいろ好んで読んでいたのですが「ステップファザー・ステップ」はダントツで読みやすくて楽しいです!

あまり読書をする習慣がない方でも楽しめると思いますので、良かったら是非読んでみてくださいね。

 

 

 

■あらすじ

主人公であり物語の語り手である「俺」はプロの泥棒。

とある物件に忍び込もうとした際の不手際で怪我を負ってしまい、忍び込むはずだった物件の隣に住んでいた中学生の双子「宗野哲」と「宗野直」に助けられてしまいます。

 

双子の両親はなんとそれぞれ別の日に別の相手と駆け落ちをしてしまい、双子は二人だけで悠々自適に(?)暮らしていたのでした。

それでも双子は中学生の子供。親が残した貯金はもうすぐ底を尽きそうだし、場合によっては「親代わりの誰か」の力を借りないと、この自由な生活を守れません。

そこで泥棒である「俺」を助けた弱みにつけこみ、「お金を稼いでくれないかな?」と脅し(?)ます。

 

やがて「俺」と双子の奇妙な擬似親子生活が始まるのでした。

ステップファザー・ステップ」はそんな「俺」と双子に降りかかる、日常の中のちょっとした事件や謎を描く短編ユーモアミステリーシリーズです。

 

 

■ミニマルなスケール感の短編で読みやすい!

物語の舞台は、都心から「少し(かなり!笑)」離れた新興住宅地。双子がたまに遠出することがあっても、せいぜい車や電車で行ける範囲です。なんてったって中学生ですからね。

作中で起こる事件も、双子のお隣さんのことだったり、先生のことだったり、お友達の家のちょっと気になる不思議な出来事だったり…

ステップファザー・ステップ」で描かれるのは壮大なミステリーではなく、ご近所のゆる~い謎なのです。ギミックもなかなかゆるかったりするのですがそれもまたご愛嬌。

このスケール感が、気楽に読むのにぴったりなのです。単行本には1話完結の短編がいくつか収録されているので、ちょっとした空き時間に読み進めるのも良いと思いますよ。

 

 

■登場キャラが面白くてかわいい

ゲストキャラを含めてもそれほどたくさんのキャラクターが登場するわけではない「ステップファザー・ステップ」ですが、どの登場人物もすごく魅力的で物語を盛り上げてくれます。

 

主人公の「俺」は「職業・泥棒」。「たくさん持っているところから盗る」を信条にしており、全くの悪人でもありませんがもちろん善人でもありません。なんだかすごく人間臭いですが、嫌味なところもない。読んでいて安心感のあるキャラクターです。

最初は弱みを握られていることもありしぶしぶ双子の言うことに従いますが、やがて双子のことや双子との生活を楽しいものとして大切に思い始める…という展開は予定調和的ながらもやっぱり良いですね。

 

「双子」として括られてもやむなしなほど一心同体な「宗野哲」と「宗野直」は、時に賢くときに愛らしい、しっかり者でそしてちょっと小生意気な中学生。可愛いんだこれが。

きっと「俺」に感情移入しながらこの物語を読み進める読者の皆さんも、この双子との擬似親子生活を楽しく過ごすはずです。

 

これは完全に余談ですが、96年版講談社文庫「ステップファザー・ステップ」の表紙イラストは「鋼の錬金術師」や「銀の匙」でおなじみ荒川弘先生!これ最近まで知らなくてめちゃくちゃびっくりしました。

この表紙絵を見て以来双子の脳内CVが釘宮理恵に…笑(わかって…笑)

 

メインキャラクターであるこの3人のほかにも、「俺」の元締めであり情報屋の「柳瀬の親父」はいつのまにかちゃっかり双子と仲良くなっておじいちゃん的ポジションにいるのが頼もしくて面白いし、双子の先生「灘尾礼子先生」は美人で可愛らしい女先生だし、個人的お気に入りキャラで超絶模写技巧を持つ「画聖」も食えない男で要所要所で良い仕事をするし…

 

お話が面白いのはもちろんなのですが、「ステップファザー・ステップ」の魅力はこのキャラクター陣の良さもかなりの割合を占めていると思います!

 

 

■まとめ

長々書いたけど私が擬似親子もの好きなんだ~~~!!わかれ~~~!!!笑

ゆっくり読んでも2間ほどで読み終わるボリュームだと思います!書店や中古本ショップで探しても比較的手に入りやすいと思いますので、是非読んでみてください~。

 

ではまた!