「ロケットマン」感想文(ネタバレなし)

2019年/デクスター・フレッチャー監督
気楽に見れる★★★★
お話が凝ってる★★★
映像がすごい★★★★★
音楽がいい★★★★★
俺の性癖★★★★★★
 

こんにちは、やぁたろです!

今回はイギリスのミュージシャン、エルトン・ジョンの半生を描いた伝記的映画「ロケットマン」の感想文です〜。
 
■本当の自分とスターの自分との乖離と葛藤が良…
イギリス郊外で生まれ育った主人公のレジナルド・ドワイト。不仲な両親の元で育った彼は、愛に飢えた孤独な少年時代を過ごしていた。そんなレジーは、天才的な音楽の才能を見出され国立音楽院に入学することに。やがて彼はロックに傾倒していき、ミュージシャンを目指すことに。古い自分を捨て、新しい名前「エルトン・ジョン」として生きていく決意をする。
レコード会社の公募を通じて知り合ったバーニーの作詞センスに惚れ込んだエルトンは二人で曲作りを始める。デビュー後、瞬く間にスターへの階段を駆け登るエルトンですが、愛に飢え満たされない心は変わらないまま、売れ続けなければいけない、スターの「エルトン・ジョン」でいなければいけないというプレッシャーからやがて破滅の道へと進むことに…
 
 
自分はあまり洋楽に明るくなくて、「ロケットマン」を見るまでエルトン・ジョンのことも曲もほとんど知らなかったのですが…、あの、正直今年一番良かったですロケットマン。リピートしました。
エンターテイメント、娯楽映画としての完成度の高さ、繊細なテーマを扱っていながらも決して内容を難解なものにはしていない脚本の分かりやすさと納得度の高さ。映画を盛り上げるミュージカル部分も軽快でテンポがよくて、比較的重いシーンも多いのですが全体を通して見やすいんです。あとはもう単純に自分の性癖に刺さった…みたいなところがあるので好みの問題かもしれないんですが…(笑)
過去の自分を捨てて新しい自分、なりたい自分になる。それはとても素晴らしい生き方だけれど、エルトン・ジョンは「世間が求めるロックスターとしての『エルトン・ジョン』と本当の自分」との乖離に悩むことになります。華やかなスターになることを望んだのは確かなのに、いつの間にか自分の本心からどんどん離れていって、だけどその本心は「捨てたかった自分」の部分でもあり、気がつけばどこにも肯定できるものがなくなってしまう。更に冷たい両親、自由な恋愛が叶わない同性愛者としての苦しみ、一時は恋人関係になるもその後泥沼のような関係になってしまうマネージャーとの対立…。他人からの肯定も得られず、欲しいものが手に入らない。
自分、この「なりたい自分、飾り立てて作った自分と本当の自分」の乖離、みたいなテーマがド性癖で(え?)その中でも表現とかオチがかなりグッとくる映画だった…というのがかなり評価高かったりします。同じような性癖をお持ちの方全員に勧めて回りたい(そんな人いる…?)
あとこの映画一番の聖人「バーニー」とエルトンとの関係性が本当に…もどかしくも美しい。
バーニー、本当に良い人なんです…。エルトンの音楽を心から愛していて、エルトンが自分は同性愛者だとカミングアウトしたときも、不安に押し潰されて情緒が不安定な時期も、変わらず対等に接してずっとそばにいてくれるんです。本当にこんな聖人おるんか?って感じなんですけど実在人物なんですよね、信じられない…。
ただ彼はあくまでも「対等な友人」の立場を貫いている、というのも一つのポイントだったり。バーニーにも彼の生き方があり、エルトンに付きっきりだったりイエスマンだったりするわけではなくて、エルトンが破滅に進もうとしている時に手を伸ばしはするけれど、彼がその手を拒めばそれ以上無理にどうにかしようとはせず、エルトンの選択を尊重する。この対等さが時にエルトンが傷付く原因になってしまったりするのがまた、もどかしい…。そしてバーニーのこの変わらない愛をうまく受け取れないエルトンもまたもどかしい。心に穴が空いている人は、フラットな愛を受け止めようとしても穴から零れ落ちてしまう。零れ落ちてしまうから尚更に愛を求める…これビューティフルボーイでも同じこと書きましたね。性癖の話ですね(?)
テーマやストーリー、人物同士の関係性が性癖にぶっ刺さったのももちろんなのですが、単純にミュージカル映画としても見応えがあって楽しいです!アップテンポのロックナンバーが多くて良。曲が良いといいですね…(?)
 
■まとめ
ほんとに2019年で一番良かったです〜!こんなに自分の好みをピンポイントで刺してくるなんてことあるか…!?という…(笑)
万人向けエンターテイメントに仕上がっているので、趣味が合う方もそうでもない方も是非見て欲しいです。
今回はこんな感じで〜!!