「チャーリーズ・エンジェル」感想文(ネタバレなし)

出演:クリステン・スチュワート、ナオミ・スコット、エラ・バリンスカなど
気楽に見れる★★★★★
お話が凝ってる★
映像がすごい★
音楽が良い★★★★★
かわいい★★★★★


こんにちは矢澤です!

今回はリブート版「チャーリーズ・エンジェル」を見てきましたー。元シリーズに関してはうっすら基礎知識がある程度でほぼほぼ未履修なので比較とかは出来ないのですが、本作もバッチリ楽しかったです!健康にいい映画だ(?)


■「女性の自由」についてちょっと考える
国際機密機関の女性エージェント、通称「チャーリーズ・エンジェル」。ある日、天才プログラマーのエレーナは、自身が開発した新エネルギー機構が軍事利用されようとしていることに気付き、チャーリーズ・エンジェルに調査を依頼します…

やっぱり王道って大事に残していくべき文化だと思うんですよ。人は意外なものが好きだし、新鮮さや目新しさは目立って評価されやすいのですが(もちろん人が進歩していくためには常に新しいものを求める精神が必要なのですが)そういう奇抜さがなくても王道を行った作品というのは安心と信頼の面白さ、約束された勝利がそこにある…。チャーリーズ・エンジェルはまさにそんな感じです。
なんかもう見る前から優勝じゃんこんなんという材料で実際中身も期待を裏切らずそんな感じだったので大変ありがとうございました。ゴージャスでオシャレでカッコよくてお茶目で可愛くて強くてマッチョでしかもスパイをやってる女が出てくる映画は健康にいいと古事記にも書かれています。カーチェイスと銃撃戦と肉弾アクションも体にいいです。
いや男スパイでもそれはそれで我々が大好きなやつなんで良いんですけど、チャーリーズ・エンジェルは女性の持ち味的な魅力とかゆるさをいい塩梅で魅せてるところが楽しくて良かったなと思います。任務の最中にスッ…とプリクラを撮るやつ、あまりにもなりたすぎる…。

ところで、女性の強さとか自立とか自由とか男女平等とか、ちょっと大袈裟にやっておけ、みたいな風潮が最近目につくよなあとぼんやり思っているのですが(ディズニーとか特にそうですね)私の目には大袈裟に見えるだけで、実際世界の基準はまだそういうのを少し大声で叫ぶくらいがちょうどいい、一種の闘争が必要な段階にいるということなんだろうな、というのも漠然と感じています(あとまあ単純にウケが良くて売れるんだろうな…)。
自分は恐らく幸運な方で「"女だから"損をした」という経験がほとんどないので実感が薄いんですよね。世間を見ると「性別で損をした、自分が女性だったせいで不快な体験をしたことがある」と感じている人が自分が思っていたより遥かに多く身近に存在していて、自分の感覚とのギャップに少し戸惑うことがあったりします。恐らく自分が少数派側なんだと思うんですが、そういう意識すらありませんでした…。
チャーリーズ・エンジェルにも、典型的な男尊女卑イラつく発言連発マンを力でボコボコに制裁するシーンが出てきます。ムカつくやつを暴力で解決する映画、まずそれはそれでひとつのカテゴリとしてめちゃめちゃ最高のやつなのでそこの善し悪しは一旦置いとくんですけど、こういう「テンプレート的な男尊女卑発言があって、それを良しとせず、制裁する」という分かりやすい表現が必要であり、一定数女性側からの共感を得る…というのが現状なんだろうなあ…と…。

自由とか平等とか、そういう感覚それ自体を掴むことがまず難しいよなあと思います。
人間という動物の身体の造りが概ね二種類に分類され、その構造の違いによる明確な特性差がある以上、性別、という区分け自体はやっぱり必要なものだと思うのです。それぞれの性別の特性から由来する、見た目や能力などあらゆる面での「男ならでは」「女ならでは」の良さというのも、やっぱり概念としてあって良くて。でも「"自分"という個体」が一体どれを良しとして、自分自身の武器や魅力として身につけるか、それは自由に選べたらいいな、といつも思います。自分は自分、わたしはわたしです。
従来の、或いは現代では少し古臭いと感じられてしまうような男らしさ、女らしさを良しとして自分のものにしたいと思うのも、「現代的」と言われるような思想を良しとするのも、全てが「個人」の自由でいい。それを他人に押しつけたり、あるいは他人の選択を否定したりせず、個人の選択を受け入れたり尊重できれば、それが自由とか平等なのではないだろうか?と…。
少し話が逸れますが、人それぞれどうしても受け入れられないものや理解できないもの、好みではないものがあるというのは当たり前なので、その感情を否定する必要はないかなと思うのです。私だって解釈違いの自カプに泣いた夜もあります。(?)
でも、だからといってその対象を否定したり攻撃したりしていい理由はないし、逆に無理をしてまで理解しようとしたり歩み寄ろうとしたりするべき、というわけでもなく、適切な距離を取ったり互いに棲み分けをしたりする、というのもひとつの尊重のかたちなんじゃないかなあ、と思っていたりします。穏やかに生きたいです。

自分の話を少しすると、割と性自認が曖昧な方だよなあという自覚があるというか、やっぱり「男」「女」という区分け以前に、わたしはわたしだ、という意識が強いのです。女の体を持っていることに違和感はないし、明確に男になりたい、という気持ちもないのですが、それは生まれた時から私の体は女だったわけでずっと私の持ち物だったからで。女の体、というか、私の体、です。女性の意見、男性の意見、どちらも共感出来る時があるし、共感できない時もあります。それも私の価値観です。
チャーリーズ・エンジェルは女性による女性のための闘争の映画だと思います。それはそれで現代の価値観のアップデートのために必要な声なんですけど、「男が自由である」「女も自由である」という論になると、どちらかじゃないと自由じゃないんだろうか?どちらか一方であるべきなのだろうか?とも少し思ってしまうのです。男だから、女だから自由であるのではなく、全ての個人が等しく自由である、わたしは自由である、という「個」の意識がもう少し浸透したらいいな、とかちょっと思ったりしています。かっこいい女の人も憧れるし、かっこいい男の人も憧れるので、両者の良いとこ取りがしたいな、とか思ってるのかもしれません。強欲なんですかね。そういう意味ではチャーリーズ・エンジェルは厳密には私はちょっとニーズ外れてるのかもしれません(笑)そういうの抜きにしてエンタメとしてめちゃめちゃ楽しいんでオールオッケーです。

自分の性自認についてたびたび思うところがあったのでなんか長々と書いてしまったのですが、チャーリーズ・エンジェルは見るだけでゴージャスで強い女になった気分になれるしシンプルに楽しいです。ああいう映画を見るとギラッギラで底が厚い靴が欲しくなるんですが、手頃なそういう靴ってどこで手に入るんだろう…。情報お待ちしています。(?)


■まとめ
オシャレでゆるくてかっこいい!「オーシャンズ8」にアクション要素をもっと強くしたような感じでしょうか。強い女に憧れている方は特に楽しめると思います…!
今回はこんな感じで〜。ではまた!