ライブレポとかではないです
2022年6月12日、私は渋谷公会堂で溺れていた。オーケストラの演奏を聴きながら、溺れた。
それは物理的な空気の振動、或いは強大な愛のうねり。音楽は確かにそこに物理的に存在していて、私たちの身体を、内臓を震わせた。呼吸をするのも忘れて、ただただ音楽に飲み込まれた。酸素の代わりに音楽が身体中に満ちて、溺れた。普通に酸欠になった。会場を出てすぐたくさん呼吸をした。
生きたまま生まれ変わったような、何かが終わってしまったけど満ち足りたような、自分があたたかい空っぽになってしまったような、奇妙な気分だった。
BEMANI SYMPHONY Concert 2022。BEMANIのライブイベントって一体何年振りの開催だろう?私がBEMANIのライブイベントに行ったのは、JAEPOの企業ブースステージで行われるミニライブを除けば2016年のBEMANI ROCK FES以来6年振りだ。
ただひとつ確かなのは、BEMANI SYMPHONY Concertの為に渋谷に集まった誰もが―もちろん私も―この時を待ち望んでいたということ。会場は終始期待と興奮に満ちていて、それを身をもって体感出来たことが何よりも嬉しかった。
あの場に集まったたくさんの人たちはみんなバラバラだ。誰かと誰かが同じ境遇、ということは恐らくほとんどないだろう。性別も年齢も出身地も、想い入れのある曲や記憶も全部バラバラで、公演中に何をどう感じたのかだって、きっとひとつとして同じものは無い。私は過去に体験したライブイベントのことを思い出していたし、別の人は初めて体験することになったこのライブイベントを噛み締めていた。誰もがそれぞれの想いを抱いていた。
だけどみんなBEMANIというひとつのコンテンツの為に集まった。同じ想いは存在しなくても、ひとつになっていたように思う。出演者も、スタッフも、観客も、あの時間の中、私たちはBEMANIを通して大きな大きなひとつになった。この大きなひとつを愛と呼ばずに、一体なにを愛と呼ぶことが出来るだろう?
これまでの、そしてこれからの、あなたの愛についてをたくさん聞きたい。BEMANI SYMPHONY Concertは恐らくはある一種の終着点で、だけどこれからもずっとこの愛が続くようにという祈りでもある。
あなたの愛についてを聞きたい。きっとそれが祈りになると信じているから。
いつまでも、楽しい音楽の時間が続きますように。